がくが綴る何か

思ったことをテキトーな頻度で文にまとめ更新していこうかと思います。

ウマ娘の百合妄想

ギャルって結構マジメ。

見た目は派手だけど、やることはキチンとやるし、仲間思いだし、普段はおちゃらけてるように見えても真剣な悩み相談とかは親身になってくれる。

わたしの中で、そんなイメージがある。

 

ジョーダンさん、パーマーさん、

 

そして、一際目立つヘリオスさん。

 

青のメッシュカラー、目元のキラキラ、短パンからスラッと伸びるキレイな脚。

いつの間にか、自然とヘリオスさんのことを目で追うようになってしまいました。

 

「パマちんうぇ〜い、アタシさぁ、今週出さないといけないレポートまだやってなくてマジさげみ〜って感じなんだよねぇ、だから図書館寄ろうと思ってて...」

「ちょっとヘリオスってば、今日駅前のスイーツ行く予定だったでしょ?もう〜!」

「それはホントにメンゴだね、なるべくパパッと終わらせるからまた今度空いてる日があったら行こっ?」

 

パーマーさんとヘリオスさんの声だ!

しかもヘリオスさんは図書館に来るの?

 

その期待に胸を躍らせるわたし。

 

いつも遠く彼方、逃げてる姿。

時にバテてるちょっと情けない姿。

わたしなんかじゃとても付き合えないような娘たちに向ける眩しい笑顔。

 

そして、いつもそれを遠くから眺めるだけのわたし。

 

いつに無い近距離でヘリオスさんを拝めることについ舞い上がってしまう。

 

「わわっ!」

そんなことを考えてたらついぼーっとして、手に持っていた本を落としかけたその時。

 

「ロブロイちゃん大丈夫?ぼーっとしてちゃダメだよ?本は大事なんだから...」

「へ、ヘリオスさん...!?」

「はい、落としかけてた本」

「あ、ありがとうございます...!」

 

ヘリオスさんの白くて綺麗な手が触れた。

そして、ヘリオスさんが名前を呼んでくれた。

いつもあんなにキラキラ輝く太陽みたいなヘリオスさんが、影のような暗い私を照らしてくれたような、そんな晴れやかな気分。

 

「じゃ、アタシはレポート頑張るから!」

「はい、頑張ってくださいね!」

 

わたしがそう言うと、ヘリオスさんはギャルピースをして、1つウィンクをした。

ヘリオスさんにとってはただのちょっとした決めポーズなのかもしれないけど、そのたったひとつの仕草でわたしの心は完全に落ちた。

 

あぁ、わたしはヘリオスさんが好きだ。

完全にわたしは今、恋をしている。

 

ヘリオスさんが近くにいる嬉しさと、ヘリオスさんのレポートを作るキーボードを叩く音が耳に心地よく響き、図書の整理が捗る。

 

...日も暮れかけた頃。

気づいたら相当長い間本の整理をしていた。

他の娘たちのひそひそ話の声や物音、

そしてヘリオスさんがレポートを作るその音すらも図書室からは消えていた。

 

わたしはそっとヘリオスさんが座っていたところを見てみると、

 

「スゥ...スゥ...」

 

レポートを作っていて疲れたのか、ヘリオスさんは寝息を立てている。

ただでさえ今日は間近で接せただけでも嬉しいのに、まさか寝顔まで見れてしまうなんて...

 

「あっ」

机の上に並べられた本を見る。走り方のフォーム、スタミナの付け方など、わたしたちがレースをする上で必要な知識が書かれた本が3冊ほどある。

 

ヘリオスさん、走法についてのレポート書いてるんだ...」

 

ヘリオスさん、きっと慣れないレポート作成に疲れて寝ちゃったのかな?

そう思い、わたしはヘリオスさんの横に座って寝顔を眺めることにした。

 

一方その頃。

 

「ねぇルビー、ヘリオス知らない?」

「あら、いつもあなたと一緒にいるじゃない」

「それはルビーも一緒じゃない?」

 

そう言われて頬を染めるダイイチルビー

「わたしとヘリオスはそんな関係じゃないの!ホントにただ良きライバルって感じで...それで?ヘリオスがまだ帰ってきてないってこと?」

「そうなの!ヘリオス放課後に図書館でレポート書くって言ったっきりなの」

「じゃあ図書館にいるんじゃない?アンタが見てきなさいよ」

「いやぁ〜、アタシ夜の学園怖くてさぁ...だからルビーにお願いしてんの!お願い!」

「はいはい分かったわよ、じゃあわたしが図書館見てくるから、そのことちゃんと寮長に伝えといてよ?」

「よろしく頼んだ!」

 

ヘリオスさんの寝顔。

図書館の窓から差し込む月の光に照らされて、白く綺麗に映し出されている。

目の周りのキラキラが太陽の下とは違った、妖艶な光り方をしているように見える。

そして白い月によく映える部分的に青く染めた髪。

 

スゥ...スゥ...

 

規則正しい呼吸音、膨らんだり、萎んだりを繰り返す背中。

普段見かけない姿のヘリオスさんに、目が釘付けになっている。

 

あぁ、もっと近くで見たい...!

そう思い、わたしは顔をヘリオスさんに近づける。

 

パチり。

目が合った。

 

「あれ、ロブロイちゃん?まだいたの?」

 

あまりの至近距離で目が合ってしまい、恥ずかしさのあまり目を逸らす。

「は、はい!ヘリオスさん寝てたから、その、邪魔したくなかったし、あと、もし不審者に襲われたらどうしようって...」

「アハハ、大丈夫だよ、学園の警備はしっかりしてるのロブロイちゃんも分かってるっしょ?だからちょっと言い訳に無理があったんじゃない?」

思わず言葉につまる。

「で、ちょー顔近づけてたけど、どうしたの?」

「そ、その...」

「さっきまですごい近くでアタシの顔見てたはずなのに、なんで目逸らしたまんまなの?」

 

うぅ...ヘリオスさんの意地悪...!

ヘリオスさんの寝顔が、あまりにキレイだったから...」

途端にヘリオスさんの顔が赤くなる。

「へ?アタシがキレイ?そ、そう...」

普段は見せないややたおやかな仕草で照れたようにするヘリオスさん。

 

あぁ、かわいいなぁ...

 

気づいた時には、わたしはヘリオスさんにキスをしていた。

 

ふわふわの唇。キスをしながらおもむろにほっぺを触る。やわらかい。

唇を重ねている時間。わたしの中では永遠。

ヘリオスさんにとっては一瞬だったかもだけど。

 

唇を離す。

ヘリオスさんの顔を見る。

 

...真っ赤。月の光で白く照らされて際立つほっぺの赤さ。

そして、ぼーっと、どこか焦点が合ってないような目。

 

ヘリオスさんが口を開く。

「そういうことするなら、言ってよね、アタシにだって覚悟ってものが...」

 

時は少し遡る。

「はぁ、ヘリオスったら一体何をしてるのかしら?それに、聞くところによるとロブロイも寮に帰ってきてないらしいじゃないの!もう、なんでわたしがこんな役回りに...」

1人夜の学園を歩くダイイチルビー

「まずはヘリオスが最後に向かった図書館ね...」

 

夜の学園を歩く、そんな非日常にほんの少しワクワクしながらも、なんだかんだわたしだってヘリオスが心配だ。

いろんなレースで競い合ってきたヘリオス

マイルのレースで幾度とない競り合いをしてきた、わたしにとって一番のライバル。

逃げるあなたと追うわたし。

時に届かず、時に馬群に沈んだあなたを横目に抜き去り。

前にあなたがいたからわたしも追えたんだ。

 

そんなことを考えていると。

「ふぅ、やっと図書館に着いたわね。ほーんと、無駄にだだっ広い学園なんだから...あら?中から声が聞こえるような...?」

 

「わたし、ヘリオスさんのことが好き!いきなり、その、キスをしたのは申し訳ないと思ってるんですけど、でも、どうしてもヘリオスさんのいろんな表情を見てたら、我慢できなくなって...」

「いいって、そんなに引け目に感じなくても」

「でも、ヘリオスさんいつもパーマーさんやルビーさんと一緒にいるから、わたしなんかにあんなこといきなりされたら嫌かなって...」

「嫌なんかじゃないよ!」

「え?」

「アタシが誰からのキスでも受け入れるような、軽いウマ娘に見えるの?」

やっぱりギャルってマジメだ。

その語調にいつものようなギャルらしい明るさや言葉づかいは無い。

「アタシだって、ロブロイちゃんのことが好きだから!」

そう言ったヘリオスさんの顔がさらに真っ赤になる。

「パマちんはギャルとして一番の親友。ルビーは一番のライバル。この気持ちとアタシがロブロイちゃんに持ってる気持ちは全然別!」

 

さっきのキスでぼーっとしていた頭にスパークが走る、そんな感覚。

まさかの、両想いなの?ヘリオスさんとわたしが?

正直言って、信じられなかった。

 

「それで、ヘリオスさんはどうしてこんな、いつも図書館で作業しているだけの、暗いわたしを...」

率直な疑問だった。

そう尋ねるとヘリオスさんはわたしにそっと近づいてきて、耳元で小声で、

 

「スゴく恥ずかしいんだけどさ、小柄な身体で黙々と仕事をしていたり、長い距離を走れたり、あと胸もおっきいし、アタシに無いものをいっぱい持ってて、そういうところが好きかな?あ、それと...」

「それ以上は言わないでください、聞いてるこっちまで恥ずかしくなってきます...」

 

そう言うと今度はヘリオスさんからキスをしてきた。

「んっ!!!」

思わず声が出てしまった。

 

「...何かしら?今の声。やっぱり中に誰かいるんだわ」

 

今度は一瞬、唇どうしが触れるキス。

「ロブロイちゃん、照れた顔もかわいい」

「もう、ホントにヘリオスさんは...」

「ロブロイちゃんだって、アタシの顔がキレイだ〜って言ってキスしてきたクセに!」

 

2人で笑いあった。

 

……

 

「笑い声がやんだみたいね。」

ダイイチルビーは図書館のドアをノックした。

「もしかしてヘリオスとロブロイいるの〜?」

 

「ヤバい!ルビーだ!」

「どうするの?ヘリオスさん!」

「とりあえず寝たふり!急いで!」

「はい!」

「三十六計逃げウマ最強!って昔から言うしね」

「それを言うなら三十六計逃げるに如かず、ですよ」

「えへへ、そうかも〜」

 

そんな冗談を言いながら、わたしたちは横並びの椅子に座って寝たフリをする。

 

「返事がないわね...」

そう言って、ダイイチルビーはドアを開ける。

 

「あらあら、2人仲良く寝ちゃって...」

思わずそう呟いた。

 

「2人!起きなさい!」

「わわっ!」

2人仲良く驚くフリ。

「もう、何してたのよ!あなたたちなかなか帰ってこないから心配だったのよ!」

「いや〜、悪いね、レポートなんて慣れないことするからつい...」

「ロブロイもロブロイよ!あなたがいながら2人で寝ちゃうなんて、もう...」

「はい、すみませんでした...」

「いいわ、2人が無事でよかった。早く寮に帰りましょ?」

 

3人で寮の入口に立つと、

 

ヘリオス〜!おかえり!めっちゃ心配だったんだから!」

パーマーさんが飛び出してきて、そのままヘリオスさんに一直線。

「心配させちゃってゴメンね〜、図書館でつい寝ちゃってさぁ」

「聞いてパーマー、この2人、図書館で一緒に寝てたのよ!」

「...まさか、アンタたち...デキてる?」

「もう、そんなワケないっしょ!」

そう言うヘリオスさんの顔は笑顔の中にどこか後ろめたさを含んでいて。

 

(そんなワケない、か...)

2人で夜の図書館で過ごしたあの時間。

ずっと続けばいいのにと思ったあの時間。

ヘリオスさんの「そんなワケない」という言葉が、急にわたしを不安にさせた。

 

「まぁなんだかんだみんな無事でよかったわ、入りましょ」

ルビーさんがそう言ってルビーさんとパーマーさんが背中を向けた瞬間ヘリオスさんがわたしに駆け寄ってきて、耳元で

 

「そんなワケないなんてこと無いからね、また、2人で、今度はどこか行こ?」

 

そう言ってくれた。

わたしは心の底から安心した。

 

この後わたしとヘリオスさんはみっちり寮長に叱られた。

自慢じゃないけどそんなにわたしは怒られる方ではないからシュンとなっていたけど、横目で怒られてるヘリオスさんを見ると...

 

バツが悪そうな顔してる、かわいい。

 

好きな人の、いろんな表情を見れた1日。

その嬉しさで、わたしの胸はいっぱいになりました。

 

_無事にゼンノロブロイダイタクヘリオスを送り届けたダイイチルビーはというと。

 

「あーもう!なんでヘリオスとロブロイが!あんなこと!わたしだって!ヘリオスと!走る以外のことしたいのに〜っ!!!!」

 

布団にくるまり、そう叫ぶのであった。