がくが綴る何か

思ったことをテキトーな頻度で文にまとめ更新していこうかと思います。

「えんとつ某」を観た

やたらとネットで反発意見を見る映画、「えんとつ町のプペル」。中にはゴミという評価を下す人もいた。

 

観ずにどうこう言うのはポリシーに合わないのでかなり前だが観ることにした。

 

以下感想。

 

 

…「あんなのリピートする価値も無いが、1度観る分には全然構わない」

 

というのが正直な感想。

 

少年ルビッチがゴミ人間プペルと仲良くなり、夢に向かってがむしゃらに努力する、そんな内容(ざっくり)の映画。

 

まずいい所から。

①声優さんが上手い

主人公の声を演じた芦田愛菜、ゴミ人間プペルを演じた窪田正孝、何気にキーパーソンの採掘マン(なんだその職業は)を演じたオリラジの藤森、その他大勢、みんなさすがの演技のうまさでした。

声優を俳優さんがやるという映画は多く、しかしあまりそのような映画のアフレコには期待してこなかったのだが、その点に関しては一切問題が無かった。

 

②映像がきれい

原作絵本を書き上げたカジサッ〇の相方さん、「絵が上手芸人!」みたいな括りをされ、彼の絵をいくつか見たことがあるのだが、彼の絵はどれもスゴく緻密。それをあそこまで映像として成り立たせたことはスゴいなと感じた。また、えんとつ町には鉱山があり、採掘した鉱石を運ぶトロッコにルビッチとプペルが乗るのだが、その映像の迫力たるや素晴らしい。あのシーンだけでも映画館で観る価値はあるのでは無いかと思う。

 

③(一応)キレイな伏線回収がある

これはネタバレになるので詳しくは言わないが、やたらと煙がもくもくしている描写がされるこのえんとつ町。その描写がラストの展開に向けて個人的にはキレイな伏線回収として活きてるなぁと感じた。

 

④わかりやすいメッセージが込められている

「誰に笑われようと自分が信じる夢は叶えよう」といったような、さすが原作が子ども向けの絵本とあって、このメッセージを軸に物語が作られている。このメッセージの是非、物語の見せ方等は置いといて、1本の大きな軸がブレていないという点では評価に値するのかなと感じた。

 

ここからは悪口劇場です。

 

まず世界観がごちゃごちゃしすぎ。

さっき「緻密な絵」と言ったが、その緻密さが悪い方に出てる。えんとつの様子はさながら産業革命のイギリス、かたや一方街並みの一部は中国の九龍城、鉱山や火薬(話でめちゃくちゃ大事になる)のデザインはどこか西部劇、ゴールドラッシュを思わせる。

緻密さゆえの色遣いがうるさく見える現象が起きてる。オープニングがハロウィンチックな世界観で描かれるのだが、曲はカッコいい。映画館の大迫力スピーカーで聴く価値はある。でも色がうるせぇ。あと長ぇ。

 

あと絵本の中に紙芝居の別な話を持ち込むのやめろ。原作を読んでないから知らんが、もしかしてあの紙芝居が実際の絵本で、映画で描かれてる世界が絵本を伏線回収に用いただけだとしたらストーリーの見せ方として最悪だし、仮にそうじゃなかったとしても、映画のストーリーと紙芝居のストーリー、その両方を意識させながら映像を観るのは負担オブ負担。やめてくれ。

 

子ども向けの絵本に貨幣経済の話や「異端審問」とかいう小難しい言葉を使うな。おもっくそ作者の意図を汲み取るのであれば、敢えて絵本に子どもにとって難しい言葉を用いることで親にその説明をさせ、そのことで親子のコミュニケーションを図ろうとしているのであればそれはやめた方がいい。特に貨幣経済の話というのは「えんとつ町」がなんたるかを説明する上で外せない要素なのだが、話を見た感じそこはもっとシンプルな理由によるえんとつ町の形成を描いたほうがよかったのではないかと思う。「異端審問」も、単にルビッチや彼の父親、そして彼の仲間の敵として回るためだけの存在で、そこに「異端」なんていう言葉を使うのはやめて欲しい。絵本はフィクションで描くからこその良さがあって、そこに妙なリアリティを持たせるところがすごく見ていて不自然だった。もちろん「異端」とは作者が言うところの「夢を追い続ける上で立ちはだかる困難」の具現化なのかもしれないが、そこには多少のダークファンタジーの要素を織り交ぜてもよかったのではないかと思う。

 

これだけは言わせてくれ。

「エンディングテーマがだせぇ!!!」

なにが「ぷぺぷっぷー」だ、人間をバカにしてる。

色んな挿入歌があった。そのどれもが別に映画の雰囲気を壊すというわけではなくいい感じ(多少長いとは思ったが)だったのにエンディングがダメ。せっかく話のラストはよかったのに。最後の映像はマジできれいなんだけど。「終わりよければ全てよし」の真逆を行ってる。これはよくねぇ。

 

あとルビッチの父親の回想がうるせぇ。

ルビッチが叶えようとした夢は彼の父親が抱いた夢なのだが、彼は夢に向かって行動する際やたらと父親のセリフを思い浮かべる。しかも何度も。そしてそれを丁寧に逐一音声としてこちらに伝えてくる。マジでうるさかった。そんなに俺らをバカだと思ってるのか。人間をなめてる。

 

「俺いろんな世界を描けるんだ、すげぇだろ」っていう作者の見せつけがすごかった。ファンタジーにリアリティを織り交ぜ、様々な地域の特徴をやけにリアルに捉えたえんとつ町を描き、俺らは金払って作者のオナニーでも観てるのか、思わずそう感じてしまった。そんなんだったら同じ金払ってFANZAでAV購入した方がマシである。そんなレベル。

 

とまぁいろいろ言ったが、それを差し引いても物好きなら一度は映画館で観てもほんの少しの損で済むよとは言いたい。やはり映画館ならではのおもしろさもあったし。話の設定自体はホントにありがちな、予想の範囲を超えないストーリーだからこそ大ハズレではないというのはあるし。

 

終わり。